2018年本屋大賞5位、フタバベストセレクション2017(フタバ図書) の第1位も獲得した「AX アックス」。本作の魅力、映画化の可能性はあるのか、をネタバレなしでみていきたいと思います!
1.あらすじ
最強の殺し屋は―恐妻家。「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。『グラスホッパー』『マリアビートル』に連なる殺し屋シリーズ最新作!書き下ろし2篇を加えた計5篇。(「BOOK」データベースより)
あらすじの最初の文章でもう引き込まれてしまいますね(笑)
殺し屋が主人公ですが怖い内容ではなく、なんなら少しギャグ要素もあり、楽しく読むことができるし、ホロっと涙してしまう場面も…。
2.注目ポイント
2-1.妻に頭が上がらない
家族に秘密で、「裏の仕事」を数々行っている兜。しかし、家では奥さんに気を使いっぱなし。本作の冒頭数ページを読めば、その暮らしぶりがよくわかります。思わず兜に共感するお父さんもいるのではないでしょうか。しかし、読み進めていくと、「本当に恐妻家なのか?」と疑問が湧いてきます。
というのも、読んでいてそこまで怖い妻、という印象をもたないからです。読み進めるとわかりますが、この疑問には「裏の仕事」を行っているのに、兜には家族がいることが関係してきます。家族がいることは兜の業界では珍しいのです。家族がいるからこその兜の心境に注目すると、この疑問は解決するのでぜひそこを意識しながら読んでほしいです。
2-2.思ってた展開じゃない!
小説を読んでいると、「この人はこうなって、あれはああなるな」と先を予測することがあると思います。しかし、本作ではその予測をわりと早い段階で裏切られました(私の予測が稚拙だった可能性が高い)。方向性としては合っていた部分もあるのですが、「ここでこうなるか~」と思わず唸ってしまいました。どういった話の展開なのかぜひ楽しみにして読んでほしいです。
2-3.伊坂幸太郎の伏線回収
そんなに大事なことではないだろうと、軽く読んでいたところに、忘れたころに戻ってきます。ふわ~っと読んでいたとしても、記憶にはしっかり残るできごと/会話が伏線となっているのが、伊坂幸太郎の巧さだな、と思います。
伏線をそれと感じさせない書き方が秀逸なので、その見せ方にも注目です!
3.映画化はありえる?
結論から言うと、この小説は「本向き」です。
これまで数々の作品が映像化されてきた伊坂幸太郎だが、「AX アックス」は映画化するには少し弱いけど、本で読む分にはものすごくおもしろいと感じました。
「気持ち」の部分が丁寧に書かれているので、これを映像化し、セリフにして喋らしてしまうと陳腐になる気がします。
これはあくまで個人の感想ですので、まだ読んでない人は、ぜひ読んで確かめてみてください!
確かし
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